皮膚科を受診される方へ

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皮膚の病気は、患者さんご自身でも目で見て確認することができ、治療の結果も一目瞭然になることから、症状や治療結果に振り回されて不安やストレスを抱えることが多々あります。
治療に対して常に前向きな気持ちを保つためには、診療に当たる医師やスタッフとの間の信頼関係を築くことが何よりも大事です。

そのために当院では丁寧な問診ならびに視診を心がけ、必要に応じて様々な検査をしながら、病気の原因や考えられる治療法(選択肢)を詳しく分かりやすくご説明をさせていただきます。
また、難治性のものであっても現状維持の治療に終始することなく、大学病院など必要な医療機関と適切に連携しながら治療を行っていきます。

患者さんが不安を抱えず、納得されて治療に関わって頂くために、またご自身の状態に最も合った治療法を医師やスタッフと共に効率よく話し合って選択できますように、このホームページや院内のパンフレットなどもぜひご覧ください。
正しい知識を得た上で、一緒に治療を進めて参りたいと思います。

皮膚科で拝見する主な症状や疾患

かゆみ

かゆみは目に見える症状ではないため、そのつらさや不快感は、ご本人にしか分からないものです。
搔けば掻くほどかゆみを増長させてしまいます。かゆみをコントロールすることが症状を改善させる方法の一つです。

一言でかゆみといっても様々な疾患があります。湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、かぶれ、虫刺され、水虫、水いぼなど、かゆみの症状のある疾患は多数あります。
症状と経過をみて、場合により検査をすることで診断します。

「いつ・どんな時にかゆくなるのか」「どんなかゆみがあるのか(ムズムズする・ピリピリするなど)」などを、診察時に詳しくお伝えください。
繰り返す症状はエピソードなどをメモし、ご持参いただくと診察の参考になります。
慢性化している場合は今までの治療経過などもご持参ください。

湿疹

皮膚表面の炎症を湿疹といいます。
湿疹の経過は多様です。赤い斑点(紅斑)から始まり、ブツブツ(丘疹)、水ぶくれ(小水疱)、膿をもった状態(膿疱)になり、徐々にかさぶた(痂皮)、カサカサ(落屑)し、慢性的に繰り返すとゴワゴワ(苔癬化) してきます。すべてが揃わない場合もたくさんあります。
湿疹を伴う疾患としてはアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、貨幣状湿疹、痒疹などそれぞれの特徴ある疾患があります。

蕁麻疹(じんましん)

蕁麻疹は、赤くなったり、盛り上がったり、ブツブツしたり、繋がったり様々な形をし、強いかゆみを伴います。
掻くと広がったり、数分から数時間程度で消えてしまったり、場所が移動したりする、動きのある発疹をいいます。

人がイラクサ(蕁麻(じんま))の葉に触れると、同様の皮膚症状が起こることからこの名前がつきました。
ひどい場合には全身に広がったり、粘膜(目やくちびる)が腫れたり、息苦しくなったりすることもあります。
蕁麻疹には、 一時的な「急性蕁麻疹」と、再発を繰り返す「慢性蕁麻疹」があります。
慢性になるとなかなか治りづらく、内服が長期化することもしばしばあります。
焦らずに定期的に通院していただき、状況に応じて治療していきます。

原因ははっきりとわからないことも多いですが、エピソードなどを伺って原因の可能性をお話します。
アレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。
アレルギー性のものは血液検査で調べることが可能な場合もあります。
非アレルギー性のものには、機械的な圧迫や寒冷、温熱、紫外線などの刺激が原因になっていることがあります。
詳しい検査を行っても原因がわからないことも多々あります。

かぶれ

かぶれとは外来性の刺激物質や抗原(ハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応です。
主に「刺激性」と「アレルギー性」の2種類に分類されます。

刺激性のかぶれは、肌が原因となる物質に触れたことにより、ヒリヒリしたりムズムズしたりといった症状が出ます。消毒剤などのかぶれはこちらになります。
アレルギー体質の人でなくても全員皮膚の刺激により起こるかぶれです。

アレルギー性のかぶれは、原因となる物質に初めて触れた時には症状が出ず、2回目以降に症状が出はじめます。
繰り返し触れることにより感作(異物と認識)し、免疫反応(異物を排除使用とする反応)を起こします。
化粧品や湿布などのかぶれ、金属アレルギーはこちらになります。

かぶれの診断はエピソードがとても重要です。
何をつけたのか、何に触れて悪化したかなど、診察時に伺います。
エピソードだけでは原因がはっきりわからない場合、パッチテストで原因を調べる方法もあります。

虫刺され

日常的な環境からレジャーなど虫にさされる場所は数多くあります。
虫の種類もカ、ノミ、ダニ、ブユ、シラミ、ムカデ、ハチ、アリなど様々です。
反応の仕方も個人差がかなりあります。
カに刺されると、刺された翌日になって赤く腫れ数日続く人、刺されてすぐ蕁麻疹のように赤く腫れてすぐに消える人、この両方が出る人、全く反応がない人など人によって反応は様々です。

一般的にはお子さんの方が腫れやすく、高齢になると反応が少なくなります。
また、ハチ類に何度も刺されると全身に蕁麻疹ができ、(息苦しさ、嘔吐、腹痛、悪心など(アナフィラキシー)を起こすこともあるので注意が必要です。
初期の対応がとても大切です。
掻き壊して、とびひになったり、慢性化して痕に残ったりします。適切な薬を使用してなるべく早めに治すことがコツです。

水虫

水虫は、白癬菌(カビ)が皮膚、爪などに感染する疾患です。
ケラチンという蛋白を栄養源に生きているカビなので、ケラチンの豊富な皮膚の表面の角層に感染します。
一度治ったように見えても繰り返し再発するやっかいな病気の一つです。

特に夏になり、汗をかくようになると水虫の原因になる白癬菌の活動が活発化し、かゆみや目に見える症状が出てくるようになります。
夏には5人に1人は足白癬、10人に1人は爪白癬と言われています。
しかし、秋冬の低温で乾燥した環境では白癬菌が活動できないため症状が見えず、治ったように気がしてしまいますが、条件が合えば症状がすぐに再発しますので、根気よく治療を続けることが重要です。

最近は、秋冬でもブーツや通気性の悪い靴を履くことが原因となって白癬菌の活動に向いた高温多湿の環境を作ってしまい、一年中水虫の症状に悩まれる方も多くいらっしゃいます。 水虫には、足の指の間の皮がむけたりただれたりする趾間型と、足全体に小さい水疱ができる小水疱型があり、一般的にはこの2つが水虫の大半を占めています。慢性化すると足裏全体が硬く厚くなる角質増殖型へ変化していきます。白癬菌が足の爪に感染する爪白癬もあり、爪が白く濁ったり、厚くなったりします。 また、水虫によく似たかゆみや水疱ができる他の病気もありますので、水虫だと思い込んで市販薬を使ってしまう方も多く、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。 水虫は、白癬菌の有無を確かめ、いかに早く・継続的に行うかが重要になりますので、気になる症状がある場合には、どうぞお早めに当院へお越しください。 水虫の治療は塗り薬が中心となります。爪白癬は以前、抗真菌薬を内服しなければなかなかよくなりませんでしたが、現在は外用剤でかなり効果が出るもの発売され、ご高齢の方でも安心して治療できるようになりました。 かゆみや見た目の症状が治まるとつい薬を中断したり忘れてしまいますが、治ったと感じても、医師の指示した期間は必ず続けるようにしてください。 そして、白癬菌の好む環境を作らないよう、通気性のよい靴や靴下を履いたり、帰宅後はすぐに足を洗ったりして、常に清潔を心がけましょう。

いぼ

いぼは、加齢が原因で生じるものから、100種類以上あるウイルスが原因となるものまで様々なものがあります。
全身のあらゆる場所にできる可能性があり、その種類によって症状も異なります。
特に、いぼの大半を占めるウイルスが原因となるものは、正常な健康な皮膚には感染できないと考えられていますが、小さな傷があるとそこからウイルスが侵入し、感染してイボをつくると考えられています。
また、時間が経つと広がったり他の人に感染させたりする怖れもあります。

いぼは、ウイルスが残っていれば、何度でも再発します。
しっかりと完治するまで治療を継続する必要があります。
治療は、症状によって異なりますが、液体窒素によって患部を凍結させ、ウイルスを表皮の細胞ごと破壊していく方法が基本になります。1から2週間毎の通院が必要になります。

多くの場合、1回で治すのは難しく、何回か繰り返してやっと治るというのが通常です。
根気強く、治療していきます。
なかなか治らない方には漢方(ヨクイニン)を内服したり、角質が厚い方はメスで丁寧に削ったり、薬剤で焼灼したりします。

たこ・うおのめ

たこ・うおのめは、皮膚の一部が慢性的に圧迫や摩擦による刺激を受けて皮膚が厚くなる症状が特徴です。
たこは、皮膚が外側に厚く盛り上がりますが、芯はありません。
うおのめは、厚くなった角質が皮膚の内部に向かってくさび状に芯ができ、ひどくなると上から押されるなど少しの刺激でも痛みを感じるようになります。

たこ・うおのめの治療は、痛みが強い場合は貼り薬で硬くなった部分を柔らかくして取り除いたり、メスを用いて外科的に取り除いたりします。
可能な限り原因を除去し、再発を防ぐことが大切です。